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溶融亜鉛めっき概要

溶融亜鉛めっき概要

そもそも亜鉛めっきって何?

亜鉛で素材をコーティング!

種類 溶融亜鉛めっき・電気めっきがある。
弊社が行っているのは溶融亜鉛めっきです。
目的 高い防錆効果を得るため。
理由 亜鉛皮膜、酸化亜鉛皮膜による長時間の耐食性があるから。
形状 その工法から製品の形状やサイズに幅広く対応できる。
塗装との違い 亜鉛と素材の合金層が形成され、剥がれ落ちることがない。

電気めっきとの違い

◆ 溶融亜鉛めっき ◆

  • 屋外に露出していても長時間耐えうる。
  • 海岸地帯においても高い耐食性を持つ。
  • 少々のキズ(打痕等)なら耐食性に特に問題がない。
  • めっきが全体に平均的につきやすい。

屋外などの過酷な環境に向いている!

◆ 電気めっき ◆

  • 小さな製品であってもねじ詰り等のめっき溜りが
    おきないよう調整ができる。
  • 鏡面仕上げをすることができ外観に優れる。
  • 種類が多く用途に合わせて選択できる。
  • 金属以外(プラスチック等)にも施せる。

機械の部品や装飾性の強い
製品に向いている!

なぜ溶融亜鉛めっきをするのか

溶融亜鉛めっきは長期間錆を防ぐ効果に優れているから

曝露試験地域 耐用年数(年) ※1
都市・工業地帯 62
田園地帯 113
海岸地帯 25 ※2

※1 亜鉛付着量550g/㎡(HDZ-55)の場合で、めっき皮膜の90%が消耗するまでの期間
※2 直接潮水にかかる、潮風の流れ込む場所など状況により変動します

溶融亜鉛めっきって何?

なぜ防錆効果が高いのか

素材と亜鉛の合金が作られることで密着性が強く、剥がれ落ちることがありません。
また亜鉛めっき表面に薄い酸化亜鉛の皮膜が張られることでより錆に強くなります。
また、キズによって素地が露出しても周囲の亜鉛によって電気化学的に
素材が守られるため錆が広がる事がありません。

溶融亜鉛めっきの規格

日本工業規格の定める溶融亜鉛めっきの規格は 「JIS H 8641 溶融亜鉛めっき」
「JIS H 0401 溶融亜鉛めっきの試験方法」
の2規格があります。
このうち「JIS H 8641 溶融亜鉛めっき」によって定義され、種類及び記号(表1)やその品質について(表2)が記されています。
また、「JIS H 0401 溶融亜鉛めっきの試験方法」によって使用薬品、方法が規定されておりこれに準ずることとなっています。

表1 種類及び記号

種類 記号 適用例(参考)
1種A HDZ A

厚さ5mm以下の鋼材・鋼製品、鋼管類、
径12mm以上のボルト・ナット及び厚さ2.3mmを超える座金類

1種B HDZ B

厚さ5mmを超える鋼材・鋼製品、鋼管類及び鋳鍛造品類

2種35 HDZ 35

厚さ1mm以上2mm以下の鋼材・鋼製品、
径12mm以上のボルト・ナット及び厚さ2.3mmを超える座金類

2種40 HDZ 40

厚さ2mmを超え3mm以下の鋼材、鋼製品及び鋳鍛造品類

2種45 HDZ 45

厚さ3mmを超え5mm以下の鋼材、鋼製品及び鋳鍛造品類

2種50 HDZ 50

厚さ5mmを超える鋼材、鋼製品及び鋳鍛造品類

2種55 HDZ 55

過酷な腐食環境下で使用される鋼材、鋼製品及び鋳鍛造品類

備考 : ①HDZ55のめっきを要求するものは,素材の厚さ6 mm以上であることが望ましい。
素材の厚さが6 mm未満のものに適用する場合は,事前に受渡当事者間の協定による。
②表中,適用例の欄で示す厚さ及び直径は,呼称寸法による。
③過酷な腐食環境は,海塩粒子濃度の高い海岸,凍結防止剤の散布される地域などをいう。

表2 付着量及び硫酸銅試験回数

種類 記号 硫酸銅試験回数 付着量g/㎡ 平均めっき膜厚μm(参考)
1種A HDZーA 4回 28~42
1種B HDZーB 5回 35~49
2種35 HDZー35 350以上 49以上
2種40 HDZー40 400以上 56以上
2種45 HDZー45 450以上 63以上
2種50 HDZー50 500以上 69以上
2種55 HDZー55 550以上 76以上

備考 : ①膜厚とは素材表面とめっき皮膜との距離のことをいいます。
②1種A、1種Bの膜厚は硫酸銅試験回数から推定した最少めっき皮膜厚さの範囲です。
③平均めっき膜厚は付着量からめっき皮膜の密度7.2g/Cを除した値です。

種類及び記号(表1)に規定されている種類

溶融亜鉛めっきの種類を分類しているのは・・・
大まかにいえば 「どれだけ付着量が必要であるか」です
使用する薬品や素材、加工条件によって分類されているのではないのですが、同じ製品でもめっきの種類が違うと加工工程が変更されたり使用用途によっては支障が出ることがあります。(ボルト、ナット類など)
使用用途に沿った種類での加工をお願いします。

溶融亜鉛めっきの品質について

溶融亜鉛めっきの品質維持は次の4点により行われます

  • ①外観   ・・・ 受渡当事者間の協定より、使用上支障となるものがあってはならない
  • ②付着量及び硫酸銅試験回数 ・・・ 付着量試験及び硫酸銅試験の結果が表2に適合していること
  • ③密着性 ・・・ 通常の取扱いにおいて剥離又は亀裂が生じないことまたは密着性試験において基準を満たしていること
  • ④仕上げ ・・・ 受渡当事者間の協定による。

①外観と④仕上げについて
①と④は関連性が強く、下記の2点が基準となります。
Ⅰ.めっき表面の状態(表3)
Ⅱ.受渡当事者間の協定

まず、外観を目視にてめっき表面の状態を確認し、受渡当事者間の協定と併せ、合否を判定します。
合格品はめっき表面の状態から協定に適した仕上げを行います。
補足:協定について 溶融亜鉛めっき自体が装飾的、美観的に優れたものではなく、むしろ素材表面より良くならないものです。
JISによれば耐食性に問題がなく、使用用途上も支障がなければ合否の判定基準にしてはならない、となっています。

表3

めっき表面に見られる諸現象-1
不めっき犠牲的保護作用により幅5㎜又はΦ5.5未満は耐食性に影響をほとんど与えない。
補修の方法及び、製品面積の0.5%又は各部5c㎡を超える場合の処置は受渡当事者間協定に基づく
かすびきフラックス残さ、酸化亜鉛物が多量に付着している。
耐食性に影響を与えることがあるため除去することが望ましい。
たれ亜鉛が表面に溜まっているため、耐食性が悪くなることはない。
鋭利なたれや使用用途上支障がでる場合は当事者間の協定による方法で除去する。
やけ素地と亜鉛の合金層が表面に現れている状態。
金属性の光沢が失われているが、耐食性に影響は与えない。
きずめっき作業中に用具と製品の接触した痕。
大きさ及び深さによって耐食性に与える影響が変わる。
不めっきの判断基準を参考にすることが多い。
シーム素材表面に発生していたキズにより、めっき表面に線状の凹凸が表れている状態。
耐食性に影響がないが、補修をする際は場合によっては素地が露出することがあるため注意が必要。
ざらつき微粒上の突起があり、めっき浴槽内の浮遊物(ドロス)が付着している状態。
耐食性に影響はない。
変色保管時に薬品などの付着やめっき浴槽からの引上げ時に表面が変色した状態。
薬品によっては耐食性に影響を与える。
引上げ時の変色では耐食性に影響はない。
白さび保管時に結露や雨水などに曝露されたことによって生じた腐食生成物。
亜鉛皮膜表面のさびであるが、皮膜の消耗はごくわずかであり、耐食性に影響はほとんどない。
めっき表面に見られる諸現象-1
不めっき犠牲的保護作用により幅5㎜又はΦ5.5未満は耐食性に影響をほとんど与えない。
補修の方法及び、製品面積の0.5%又は各部5c㎡を超える場合の処置は受渡当事者間協定に基づく
かすびきフラックス残さ、酸化亜鉛物が多量に付着している。
耐食性に影響を与えることがあるため除去することが望ましい。
たれ亜鉛が表面に溜まっているため、耐食性が悪くなることはない。
鋭利なたれや使用用途上支障がでる場合は当事者間の協定による方法で除去する。
やけ素地と亜鉛の合金層が表面に現れている状態。
金属性の光沢が失われているが、耐食性に影響は与えない。
きずめっき作業中に用具と製品の接触した痕。
大きさ及び深さによって耐食性に与える影響が変わる。
不めっきの判断基準を参考にすることが多い。
シーム素材表面に発生していたキズにより、めっき表面に線状の凹凸が表れている状態。
耐食性に影響がないが、補修をする際は場合によっては素地が露出することがあるため注意が必要。
ざらつき微粒上の突起があり、めっき浴槽内の浮遊物(ドロス)が付着している状態。
耐食性に影響はない。
変色保管時に薬品などの付着やめっき浴槽からの引上げ時に表面が変色した状態。
薬品によっては耐食性に影響を与える。
引上げ時の変色では耐食性に影響はない。
白さび保管時に結露や雨水などに曝露されたことによって生じた腐食生成物。
亜鉛皮膜表面のさびであるが、皮膜の消耗はごくわずかであり、耐食性に影響はほとんどない。

②付着量及び硫酸銅試験、③密着性について
溶融亜鉛めっきが指定された種類に適合しているか、また剥離や亀裂が発生していないか、
その検査方法はJIS H 0401に以下の4つが挙げられています。

②-1付着量試験
②-2磁力式厚さ試験
②-3均一性試験(硫酸銅試験)
③-1密着性試験(ハンマ試験)

付着量試験方法

直説法めっき前に試験片を秤量し、めっき後に試験片を秤量した際の増量より付着量を求める。

間接法めっき後の試験片を秤量し、塩酸でめっき皮膜を剥がした試験片を秤量する。その減量より付着量を求める。

電磁式厚さ試験方法

  • 電磁式厚さ試験磁力式測定装置(電磁式膜厚計)を使用し、
    めっき皮膜の厚さを測定、付着量の換算を行う方法

均一性試験方法

均一性試験(硫酸銅試験)

①めっき加工をおこなった試験片を硫酸銅溶液に60秒浸漬する。
②水で洗い、めっき皮膜の上に付着している銅をブラシで拭い取る。
①・②を光輝のある密着性金属銅が現れるまで行い、規定数未満である場合合格とする。

この試験はHDZ A 及び HDZ B に適用する。

密着性試験

ハンマ試験

専用のハンマ試験機を使用して行う。
使用する試験片は40㎜×40㎜×8㎜(幅×長さ×厚さ)以上を満たす必要がある。
4㎜間隔で5回たたき、打痕間に連続した浮き上がりや剥離の有無を確認する。
※製品または試験片を用いるが破壊検査の為試験片が望ましい

目視による方法

剥離やひび割れなどが発生していないことを確認する。
※ハンマ試験を適用しないものに行う

溶融亜鉛めっきの注意点

歪み、捻れが発生する可能性がある

  • ● 製品の構造(寸法、各部の板厚や形状)
  • ● 製造時の曲げや溶接加工工程やその有無
  • ● 溶融亜鉛めっきの工程
    等の様々な条件によって発生する恐れがあります。
    基本としては同じ形状では板厚が薄いほど、全長が長いほど歪みが発生しやすくなります。
    また同一条件の寸法では、平板・山形鋼・溝形鋼・H型鋼といった順に歪みが発生しやすくなっています。

湾曲した平板

同じ条件でめっき加工を施した平板(板厚×150×300)の比較写真

  • 1.2t
  • 2.3t
  • 4.5t

切欠き(スカラップ)等が必要

  • ● 密閉された製品だと中の空気が膨張し破損します。
  • ● 破損した場合、はじけ飛んだ破片により怪我の恐れがある。
  • ● 3面が交差する箇所では、前処理時や亜鉛槽浸漬の際に空気だまりが発生し不めっき不良になる恐れがある。
  • ● また、交差する箇所では大きい亜鉛溜りが起きやすくなる。
  • これを解消するために切欠き(スカラップ)が必要になります。
  • 切欠きを作ることができない場合は穴でも代用はできますが、やはり限界があるため、溜りが多少発生する可能性があります。

スカラップ加工の有無

めっきを施した製品のスカラップの有無による影響

  • スカラップ加工をしていない為、前処理液・溶融亜鉛又は空気が溜まる事があり、正常なめっきが施されていない。
  • スカラップ加工をしている為、前処理液・溶融亜鉛が溜まることが無い
  • スカラップ加工をしていない為、前処理液・溶融亜鉛又は空気が溜まる事があり、正常なめっきが施されていない。

    スカラップ加工をしている為、前処理液・溶融亜鉛が溜まることが無い